事故を起こす3つのミス
ここでは、交通事故が起こってしまう原因についてより詳しく紹介します。
事故が起こってしまう原因について、前のページで「故意」「過失」「整備不良」という大きな3つのカテゴリーに分けて紹介しました。
この内「故意」と「整備不良」については原因が明確であるためここでは割愛します。
「過失」の内実について、より詳しく紹介します。
過失によって起こる交通事故の原因は、大きく3つのミスに分類することが出来ます。
一つ目は認知のミスです。
例えば道路の状況や、歩行者の状況など、車を運転する上で確認し認知しなければならない事項というのは多く存在しています。
これらの認知が正しく行われていないことによる事故がこれにあたります。
この認知ミスを起こしてしまう理由として、「漫然運転」と「だろう運転」が挙げられます。
漫然運転というのは、ぼんやりした頭で運転してしまうことです。
ぼーっとしていると、本来ならばしっかり認識しなければならない状況も景色として見流してしまい、事故予防への対応が遅れてしまう可能性があります。
だろう運転は、「ここでは人が飛び出てこないだろう」、「ここでは対向車が来ないだろう」というように、思い込みで運転をしてしまうことを言います。
「ここで人が飛び出してくるかもしれない」「ここで対向車が現れるかもしれない」というような、かもしれない運転を心がけるようにする、ということは多くの教習所で教えられている基本です。
基本に立ち返ることが、認知ミスをふせぐ重要な要因となります。
次に起こりうるミスが、判断ミスです。
人は認知をしただけでは行動に移す事ができません。
状況を認知し、それを自分の中で判断することによって行動に移すことになります。
例えば車道の側に子供がいるとして、「この距離なら大丈夫だ」と判断すればそのまま運転を続けることになりますし、「この距離は危ない」と判断すれば徐行、ないしは停車をすることになります。
この判断が間違っていることによって発生するのが判断ミスによる事故です。
さらに、自分の車体に対してしっかり理解が及んでいないこともこの判断ミスを引き起こす要因となります。
例えば大型車の場合、内輪差による巻き込み事故に注意しなければなりません。
これも、判断ミスによる事故の一種となります。
そして最後のミスとなるのが、操作ミスです。
認知も判断も正しく行えたものの、それに伴った操作がうまくいかない、というのがこのケースです。
例えば、目の前に人がおり、停めなければ轢いてしまう、という状況があり、停車をするという判断をしたとします。
この時、ブレーキと間違ってアクセルを踏んでしまうのが操作ミスによる事故です。
普段から運転をしている人でも、急な状況を前にすると正しい運転操作ができなくなる可能性があります。
高齢者の事故
これらの3つのミスというのは、誰にでも起こりうることです。
しかし、よりこれらのミスを起こしやすくなる条件があります。
それが、歳を取る、ということです。
若いころからずっと車を運転しているような人であっても、年齢を重ねればその分、認知・判断・操作に問題が発生してきます。
例えば視力が低下してきたり、緑内障や白内障を患い始めると、認知距離や範囲は大きく狭まります。
瞬時に物を判断する能力も衰え、操作に移すことが難しくなるために単純なミスによる事故が多く発生するようになります。
ギアをドライブに入れたつもりでリバースに入れて発進し、車庫を壊すという事故は少なくありません。
壊れるのが車庫と車ならばまだ幸いで、後ろに人が立っていたりすれば人身事故となってしまいます。
地方において、車が生活の要になっていることは事実です。
しかし、年齢を重ねてこれらの能力に問題が起こってきている、と思った時には、思い切って車の運転をやめることも重要です。
今は免許返納制度というものが存在しており、免許を返納すれば変わりの身分証明証や、様々なところで使うことが出来るチケットを貰うことができます。
自分だけではなく、自分の回りにいる高齢者の方の運転にも気をかけ、「そろそろ止め時ではないか」ということをよく話し合うようにしましょう。
今後、日本はより高齢化社会になっていくことになります。
現在、事故の被害者となっている人の多くが高齢者です。
加えて、事故の加害者の多くが高齢者となってしてまわないように、全員が注意することが必要です。