車が起こした踏切事故の事例
車通勤をしているある男性の話です。
男性はいつも踏切を通って通勤するのですが、この日はいつもよりも多くの高校生が踏切を通っていたため、なかなか踏み切りを渡れませんでした。
だんだんと気持ちが焦ってきたところ、踏切が鳴ったのです。
男性の車が渡り切れないまま、遮断機が下りてしまいそうになりました。
急ごうにも周囲には高校生がいっぱいなので、ヘタに動けない状態だったのです。
パニックになりながらも、冷静さもあった男性は車から降りて、非常ボタンを押しましたが、間に合わなかったのです。
電車が通り、男性の車は壊れてしまいましたが、けが人などはいませんでした。
どうすればよかったか
上記の例で、男性はどうすべきだったのでしょうか。
実は警報器のある踏切のルールがあるので、男性はこのルールに従うべきでした。
このルールの内容は警報機がある踏切は必ず一旦停まって、警報機をよく見て音を聞き、安全を確認するということです。
そして、安全に横断するのですが、横断先にスペースが空くまで待ち、歩行者専用通路がない踏切だったら、歩行者が進行方向にいなくなるまで待つということもあり、もしも横断しようとしたときに警報機が鳴ったら、無理な横断をしてはいけないということもルールにあります。
男性はこのルールの横断先にスペースがあくまで待ちませんでしたし、歩行者が進行方向に居なくなるまで待つこともしませんでした。
しかし、悪いのは男性のみではなく、車が動けないくらいに広がって歩いていた高校生も悪いでしょう。
それでも、道路交通法を守るために、男性は高校生たちがいなくなるまで待つべきだったのです。
もし、それができないのであれば、他のルートで通勤すべきでした。
実は踏切の遮断機のポールはかなり丈夫で、軽自動車が走り抜けたとしても、斜めになるくらいで壊れません。
なので、遮断機のポールが降りて困った場合で、ポールの向こう側に車1台分以上の空きがあれば、とりあえず走る抜けるべきでした。
男性の弁償金額は?
この男性の起こした事故は、刑事上の責任と民事上の責任の両方の要素があります。
刑事上の責任は過失往来危険罪(刑法129条1項)になり、30万円以下の罰金です。
しかし、男性は警報器のボタンを押しているので、危険回避の対処はしています。
この行為を警察がどのように扱うかで、刑事上の責任を問われるかどうかが決まるでしょう。
民事上の責任は、鉄道会社への損害賠償です。
鉄道会社への賠償は、車両の修理代だけを始めとして諸々のことがあります。
この損害賠償は絶対に請求されるかはわかりませが、鉄道会社側に過失がなければ、当然の対応として損害賠償を要求されるかもしれません。
その金額は全体の損害賠償請求額が数千万円となることが多く、事故の内容や規模や損害内容にもよります。
とはいいましても、事例の中には、鉄道会社との間で示談が成り立って損害の全額の賠償を免れた場合もあります。
こうした踏切事故への備えのためには、自動車保険の対物賠償と対人賠償を「無制限」にした方が良いです。
電車車両の損害賠償は対物賠償によって支払われる可能性が高いですし、踏切事故を起こした車は車両保険での補償がされます。